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それはある日突然起きた…
ある日サイクリング中に、写真を撮ろうとロードバイクをレンガの壁に立てかけて、その場を離れた瞬間ロードバイクが急に傾き、大きな音を立ててレンガに接触して倒れました。かなりびっくりしましたが、その時はシートステー部分の塗装が剥げたくらいで、特に大きな損傷はなかったので安心していました。
シートステーがへこむ!?
帰宅後、先ほどの損傷箇所の塗装の剥げを確認するため損傷箇所を触ってみると、硬いはずのフレームが指で押すとへこむ事がわかりました。
これは完全にフレームの剛性が失われた状態ですので、このまま乗るのは危険と判断して修理をする事にしました。専門業者にお願いする予算もないので、自分で修理してみようと思い、早速インターネットなどで修理に関する情報を調べてみました。
まずは原因をコインチェックで確認してみる
カーボンのフレームが指で押してへこむという事は、その周辺にクラック(ひび割れ)があり、へこんでいる可能性があると思ったので、ネットで調べた「コインチェック」という方法で調べてみる事にしました。
コインチェックは100円玉や500円玉など比較的重めのコインでカーボンフレームを軽く叩くと音が変わるというもので、鈍い音がするとその部分にクラック(ひび割れ)が発生しているというものです。
※カーボン修理の専門業者などはちゃんと超音波検査などでクラックを検出できるようです。
早速シートステーの部分を軽くコインで叩いてみると塗装が剥げた箇所の周辺に鈍い音がするという事が確認できました。
クラック(ひび割れ)修理の材料と流れ
原因はクラック(ひび割れ)の可能性が高いので、実際にシートステーの塗装を剥がしてクラック部分を特定して修理する事にしました。
この修理方法は自分なりに調べた自己流の修理方法ですので、基本的におすすめはいたしません。安全性や剛性を考慮すると以下のようなカーボン修理専門業者様などに修理依頼する事をお勧めします。
カーボンドライジャパン
ロードバイクは自分の命を預ける乗り物でもあり、安全性は第一に考えるべきですので、自分で修理する場合は自己責任でお願いいたします。
インターネットで調べた情報やYouTubeなどの情報から修理の流れを決めました。特にYouTubeで「carbon roadbike repeir」などで検索すると海外のカーボンフレーム修理のDIY動画が結構出てきますので、参考になります。修理に必要な材料と流れは以下の通り。
クラック(ひび割れ)修理に必要な材料と道具
クラック(ひび割れ)修理に必要な材料
- ビニールテープ
- サンドペーパー(#100 #240 #800)の3枚
- エポキシ樹脂(2液混合のもの)
- カーボンクロス(カーボンクロス 3K 平織り)
- フレームの色に合わせた塗料(僕の場合はペン型の塗料 )
- クリアー(塗装の保護と紫外線対策)
クラック(ひび割れ)修理に必要な道具
- ハケ
- マスク
- 使い捨てカイロ
- ドライヤー
クラック(ひび割れ)修理の流れ
- 修理箇所以外をマスキング(保護)する
- サンドペーパーで塗装を剥がす
- エポキシ樹脂(接着剤)を塗り、カーボンクロスを巻く
- ビニールテープで圧着して加熱する
- ビニールテープを剥がし、サンドペーパーで表面を整える
- 塗装をして完成
上記の6ステップで修理をしていこうと思います。
【1】修理箇所以外をマスキング(保護)する
シートステー部分(塗装の剥げた箇所)の両端にビニールテープを巻いて塗装を剥がす範囲を決めます。
【2】サンドペーパーで塗装を剥がす
塗装を剥がす範囲をサンドペーパーで荒いもから細かいもので徐々に削っていき、最終的に表面をなめらかにします。サンドペーパーは「#100」「#240」「#800」の順に使用しました。
サンドペーパーで塗装を剥がす際には細かい粉塵が飛散しますので、屋外で作業し必ずマスクを着用しましょう。
塗装を剥がしていくとシートステーの上部に、はっきりとクラック(ひび割れ)が複数確認できました。これがシートステーのへこみの原因ですね。
塗装を剥がして表面をなめらかにしたら、この工程は完了です。
【3】エポキシ樹脂(接着剤)を塗り、カーボンクロスを巻く
次に2液混合タイプのエポキシ樹脂を用意します。今回のロックタイトのクイックミックスは注射器のように押し出すだけで2液混合できるので、とても便利です。ただし、修理範囲が広い場合は量が足りないので、別のエポキシ樹脂の方が良いかもしれません。
エポキシ樹脂をフレームに塗る際には手袋などを着け、エポキシ樹脂をプラスチックなどのトレイに一旦出してからハケで塗るとまんべんなく塗れます。エポキシ樹脂はすぐに硬化しますので、手早くカーボンクロスを巻いていきましょう。
カーボンクロスはあらかじめ修理範囲のサイズにハサミなどで切り取っておきます。カーボンクロスは切り取った箇所などがほどけやすいので、慎重に作業しましょう。
カーボンクロスを巻く際には、カーボンの柄とフレームが水平になるような位置で巻くと見た目も綺麗になります。
エポキシ樹脂を塗る箇所はフレーム、カーボンクロス、また、カーボンクロスを巻いた後の仕上げにと、カーボンクロスとフレームが一体になるように塗ります。
今回はフレームが少し太くなるのを理解した上で、安全性も考えてカーボンクロスはフレームに3周巻きました。
【4】ビニールテープで圧着して加熱する
カーボンクロスを巻き、エポキシ樹脂を塗り終えたら、ビニールテープでフレームをぐるぐる巻いていきます。
この時にビニールテープをしっかりと引っ張りながら、カーボンクロスとフレームを圧着するイメージで強く巻いていきます。また、ビニールテープはエポキシ樹脂に反応しないので、巻いた後も比較的簡単に剥がす事ができますので、安心です。
エポキシ樹脂の硬化は温度が高い方がいいらしいので、ビニールテープを巻いたらドライヤーで熱を加えていきます。その後、使い捨てカイロを巻いて1日放置します。
【5】ビニールテープを剥がし再度サンドペーパーで表面を整える
1日放置したら、使い捨てカイロとビニールテープを剥がします。
巻いたカーボンクロスにビニールテープでできた段差などがあると思いますので、サンドペーパーでなめらかに磨きます。
サンドペーパーで磨くと白い粉が出てきますが、湿ったタオルなどで拭き取るとカーボンの綺麗な柄が浮き出てきます。
【6】塗装をして完成
最後は塗装をして仕上げていきます。今回は修理範囲が狭い事もあり、「ペイントタッチアップペン」というペン型の塗料を使いました。本来は車の塗装用みたいなのですが、色の種類が豊富でしたので選びました。また、最後の仕上げに「クリアー」という塗装の保護と紫外線対策のスプレー(透明)を吹きかけました。
白と黒の境目などはマスキングテープなどでマスクしてから塗ったりしました。仕上がりはキレイとは言えませんが、目的は剛性を保つ事ですので問題ないでしょう。
カーボンフレームの修理完了!
これで修理工程が全て完了しました。クラックによってへこんでいたシートステー部分はカーボンクロスを複数巻いた事で剛性が蘇りました。
補修箇所にもともとロゴがありましたが、黒と白の塗料で違和感のないようにしました。
カーボンフレーム修理のまとめ
今回はカーボンロードバイクのクラックを自分で修理してみましたが、修理したロードバイク乗車はレースなどはもちろん、あくまで趣味で走る程度の利用にとどめようと思います。
僕と同じようにカーボンロードバイクがクラックしてしまった方のご参考になれば幸いです。